青年海外協力隊の役割(位田和美)
(前回のコラム「人々の中のNGO」)
今回は、数あるフィールド・ポストの中でも、まさに「草の根レベルで」「住民と共に」活動する青年海外協力隊の役割を個人的観点から記したい。
前回のコラムでは、NGOが住民の生活に必要な公共サービスをも提供していることを記した。そして、それらのサービスは成果を挙げている場合が多く、私の赴任地に限って述べると、地方政府からの信頼も非常に厚い。
私は、赴任当初からNGOをはじめとする援助団体の活動地域・分野を把握することに努力を払ってきた。というのも、青年海外協力隊の常として、地方政府に配属はされているものの、具体的なTORも活動制約もなく、地方政府のリソースを活用しつつ、独自の活動を展開することが可能であるからである。つまり、自身の役割を認識した上で、赴任地における地方開発支援活動の住み分けによる相乗効果を図ろうとしたのである。
結論から言うと、地方開発における協力隊の役割は主に2つあると思う。
第一には、住民との対話や自身による観察を通して、村の現状(例えば、住民の課題は何か、現在行われている各種プロジェクトのその後がどうなっているか)を情報整理し、関係機関に伝えること。
青年海外協力隊の活動は、非常に限られた地域に限定されることが多い。しかしながら、それを逆手に取り、当該地域の情報を包括的かつ詳細に集めることが可能である。NGOはその規模が大きければ大きいほど、プロジェクト開始後の個別フォローアップが甘いことがある。当然、プロジェクトの中間評価や最終評価は行われているのであるが、それら評価システムから漏れるものも多いのである。そこで、軌道修正可能な時点で活動提案も含めた現状報告をするのが有効である。小回りが効き、ある程度客観的な視点を持った協力隊の情報提供は実際、重宝されることが多かった。
もうひとつの役割は、新しい付加価値を生み出すことである。協力隊は、言わば異文化から来ているため、地域に根付いている人々の気づかないポイントを発見することができることもあるであろう。
例えば、私の任期中、関係機関に最も評価されたもののひとつに、「掲示版」の定着が挙げられる。掲示版は日本では身近な広報ツールであるが、セネガルではあまり一般的ではない。しかしながら、その効果は絶大であることは村の各種行事の中で証明された。自身の今までの経験と村の情報を有機的に結びつけ、さまざまな提案をしていくと、互いの情報交換も進み、理解も深まったと感じている。
2年2ヶ月のセネガルでの活動を終了した今、協力隊というのは、本当に住民の生活に密着した活動を展開できる事業である、とより一層感じている。物理的には、非常にミクロな視点に限られてはいるものの、一定地域全体の課題を鳥瞰することができ、また、その原因を住民の生活観を持って感じ取ることができるのである。住民と心を通い合わせることができるという意味において最もダイナミックで面白い職業ではないか、とひそかに自負している。
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