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2004年3月28日 (日)

ネパール人女性にとっての識字(岩岡 いづみ)

(前回のコラム「コーディネーターの役割」)
 "ネパリホ(ネパール人ですか)?" "ホイナ。ジャパニホ。(いえ、日本人です)""タパイコ ナム ケホ(名前なんていうの)?""インディラ マハルジャン"とネパール名を言っては相手を混乱させるのがちょっと楽しかったりしたネパールでの半年間。口を開かなければ私たち日本人もネパール人とそっくりだ。そんなネパールで私は識字プログラムへの参加を通じての女性の意識化とエンパワーメントの相関性について研究していた。

 ネパールという国は北部の山岳地帯、中部の丘陵地帯、南部の平野地帯と地形的にも変化に富み、かつそれぞれの地域に住む民族も全く異なる。ネパールのカースト・民族は60以上あるともいわれており、北部にはモンゴロイド系の民族が多く住み、南部にはアーリヤ系民族が多い。人口の約半分が母国語であるネパール語をしゃべり、残りの多くの民族ではネパール語に加えてそれぞれ独自の言語を使用している。ネパールの識字率は41.7%といわれ、ほかの南アジア国と同様に女性の教育レベルは男性よりずっと低い。59.4%の男性が識字者であるのに対し、女性はわずか24.0%である。

 この低識字率の裏には民族の多様性がまず挙げられる。政府はネパール語の普及により国を統一に持っていきたいものの、ネパール語を母国語としない民族がそれによって劣等感にさいなまれるという現実とのジレンマに陥っている。また女性に対する教育の重要性が社会的に認知されにくい現状が挙げられる。ヒンズー教の影響を強く受けた高カーストであるバフンやチェトリ、またネワール族などでは初潮を迎えた少女は穢れた者として扱われ部屋に閉じ込めたりする風習があるようである。身体の自然な現象を大人の仲間入りとして祝福されることはおろか、このような風習から女性は幼い時から自分自身を恥じるように育ってしまう。いずれはよその家の所有物になる女性に教育の機会を与えることは時間と金銭的な無駄にほかならないとみなされ、このような社会的地位の低さから教育を全く受ける機会がなかった女性はあまりにも多い。

 その中である識字教育を受けた女性たちと話して感じたのは、読み書き能力自体もさることながら識字プログラムを通して得られた自信が彼らの新しい原動力になっているように思えた。リサーチでインタビューした中で最高齢の70歳の女性はこう語ってくれた。「以前は娘に会いに行くのに息子に連れて行ってもらっていたが、ついこの間は一人でインドにいる娘に会いに行くことができた。どのバスに乗ればいいか分かるし、途中で自分がどこにいるかわかる。それに自信がでてきたから。」配偶者を何年も前に亡くし、その印として額に付けられた黄色いティカと前歯のない笑顔がとても印象的だった。
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