2015年10月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

トップページ | ドナーの事情と農村開発プロジェクト支援 (杉原 ひろみ) »

2004年3月 7日 (日)

コーディネーターの役割 (岩岡 いづみ)

(前回のコラム「現地ニーズとドナーの都合」 筆者紹介
 一校一校が遠く、でこぼこの道をジープで何時間もかけて移動、調査という作業を経て、最終的に私たちは大使館へプロポーザルを無事提出した。しばらくして、杉原氏から二人用の机と椅子850セットと教科書8000冊のプロポーザルが承認されたとの連絡をいただいた。そればかりでなく元々資金協力は400万円を上限にという話だったが、プロポーザルを見てもっと額を増やしてもいいとの連絡をいただいた。

 このプロポーザル作成から署名式に至るまでの作業においては様々な苦労を強いられた。まず時間の感覚の違い。私のボランティアプログラムは一年間のプログラムであったので私がジンバブエに残れる期間は限られていた。その間になんとかプロポーザルを提出して私ができるところまではコーディネーター役を務めたいと私自身も思っていたし、大使館でもそれを望んでいた。杉原氏からはプロポーザルは様々なNGOから山のように来るが、まともなプロポーザルを書けるNGOが少ないこと、信用できるNGOを見極めることが難しいことを聞かされており、大使館側にとっても私のような大使館と現地を取り持ってくれる人間がいるということはありがたいということだった。そのため杉原氏も私が帰国する前にできるところまで作業を進めるために尽力してくださったのだが、効率性を求めるとジンバブエ人には「何をそんなに焦ってるんだ?」と映る。「マネル(夕方)に待ち合わせ」と言われてとりあえず4時くらいから待つとする。でも誰も来ない、なんてことはしょっちゅうある話なのだ。大使館と私が要求するスケジュールとジンバブエ人の時間の流れの間に挟まれっぱなしだった。

 日本では当たり前のことがジンバブエ人には「そんなに大事なことなの?」程度にしか思われず、日本大使館の側から反感を買われることもあった。署名式当日、草の根無償資金協力契約の代表であるlocal governmentのマドゥユ氏は何を思ったのか文部省の代表を先に車に乗せ、自分は署名式に一時間以上も遅れてやってきたのである。署名式に一番重要な人物が遅れ、いてもいなくてもどうでもいい人物を先に送ってこられたことに私は我が目を疑った。大使館の方ではメディアを呼んでいたし、大使のスケジュールというものもある。これまでプロポーザルの準備、作成を協力してやってきたマドゥユ氏を最終的に最も信用できかつ契約締結者としてふさわしいと私が判断し、大使館にもこの人なら大丈夫です、と太鼓判を押していただけに、全く大使館に合わせる顔がなかった。幸い話がボツにならずに済んだものの、来たメディアの数は半減した。署名式終了後、マドゥユ氏を詰問したところ、「いや、車がこなかったものだからどうしようもなくて。」と相変わらずジンバブエ式に「ソリソリソリソリ (Sorry)」を繰り返した。署名式当日、発熱して顔を真っ赤にしていた私の顔はますます赤くなり怒りを通り越して呆れ返ったが、彼からしてみたら自分より地位の高い文部省の代表を先において自分がくるなんて考えられなかったのかもしれない。

 コーディネーターとして大使館とlocal governmentのやり取りがスムースに行くようにやってきたつもりだったが、自分が短期間で成果を残したいという気持ちが強すぎたのではなかったか。マドゥユ氏にもっといろいろ任せて自分はあくまでもコーディネーターとして脇役に徹することこそ、長期的に見れば地域のためになったのではなかったか。ドナーが要求していることは何か、それを満たすにはどうすべきかlocal governmentにはプレッシャーをかける必要があったし、大使館側にはlocal government側の都合をできるだけ分かってもらえるように説得する必要があった。数々のジレンマの中で苦悶を強いられたことも多々あったが、双方にとって最も有益に働くよう調整することはどういうことかを学ぶことができたのは、本当に大きな収穫となった。

 署名式までは滞在中に漕ぎ着けたものの、寄贈品の納入を待たずに帰国日を迎えてしまった。帰国して半年経って、杉原氏から無事納入されたとルシンガから連絡があったと伺ったが、連絡網の乏しいルシンガに日本からそれ以上状況を聞き出すことはできなくなってしまった。今も切に願うのはあの机、椅子、教科書と共に元気に学ぶ子供たちの姿のみである。 (完)
バックナンバー

トップページ | ドナーの事情と農村開発プロジェクト支援 (杉原 ひろみ) »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/22191/62463875

この記事へのトラックバック一覧です: コーディネーターの役割 (岩岡 いづみ):

トップページ | ドナーの事情と農村開発プロジェクト支援 (杉原 ひろみ) »