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2004年6月

2004年6月27日 (日)

途上国でインターンを受け入れる(2)途上国で成功するインターンの資質(畑島 宏之)

 これまで一緒に仕事をしたインターンなどから、私なりに、途上国でのインターン生活を有意義に過ごし、実りある実績を残すことができたインターンに共通した資質があったように思う。以下に挙げてみよう。

1、積極性

 まず、仕事の面で積極的か?というのがある。与えられた仕事や決まりきった作業を超えた、提案や意見を出せるインターンというのは、常に評価が高い。また、忙しい職員を捕まえていって報告をしたり、コメントを求めにいったりというのも、相手をする職員としても大変なのだが、実は好意的に受け止められるのだ。

2、柔軟性

 途上国では特に、簡単なことでもうまくいかないことが多い。インターンをはじめる前にいろいろ予定を立てていても、そのとおりにいかないことがある。その時でも別のやり方を探しだし、柔軟に考えを変えていけるのも重要だ。

3、環境になじめるか

 先進国からくるインターンの大多数がアフリカのような途上国ははじめてというケースが多い。病気や治安のリスクがある中で、どれだけストレスなく生活できるかというのが実は最大のハードルではないかと思う。そのなかで、優秀なインターンはよく働くのと同時によく遊んで帰っていった。遊び場所や飲食店など、現地生活が長い職員以上に穴場開拓につとめたインターンもいた。また、現地で積極的にネットワークを築いたものもいた。異なる文化、環境にもかかわらず、友を作り、自分の居場所をつくれるかどうか。それができたインターンは、その短期の仕事のあと、いろいろと面白い場所で活躍し続けている。

 不平不満を言う割には働かないインターンには職業人として問題だと思うし、病気で倒れてしまったインターンはやはり途上国相手の仕事との相性があるか疑問に感じてしまった。また、活躍したインターンも、そこでの経験からまったく違うキャリアを結局後で選ぶことにした人もいる。インターン先で組織のあり方を経験し、業界全体のあり方に疑問をもつケースは多い。インターンでの経験は良い意味でいろいろな「試し」の一部だろう。

2004年6月20日 (日)

インドNGO訪問メモ~インテリ、中産階級、海外移住組(松尾沢子)

先月末までの8ヶ月間のバングラデシュ滞在中、隣は何をする人ぞと、南アジアの大国インドのNGOを訪ねた。まずは、広大な土地、India Shiningという政治スローガンそのままの活気ある街角と人々の自信に満ちた表情に圧倒された。農村部は行かなかったので断定はできないが、バングラデシュとの比較では数段近代化が進んでいる国で、NGOがどんな役割を果たしているのだろうと興味をそそられた。以下、特に印象に残った2団体の活動を通じて考えたことをご紹介させていただく。

I. SLIC (Socio-Legal Information Centre)
1.団体概要:1980年代後半から活動開始。適切な法の執行により、すべての人に平等に基本的人権と正義が実現されることを目指す法曹関係者の集団。社会的弱者(女性、子供、難民、その他差別に苦しむ人々など)からの要望にこたえるべく、法律相談、法律講座、難民申請・定住等にかかる諸手続き支援などの活動を実施。その際にはHuman Rights Law Network (HRLN)という全国規模の法曹関係活動家のネットワークを駆使して情報交換や共同事業を実施することもある。財政面は全面的にドナーに依存しており、たとえば難民関連の事業はUNHCRインド事務所からの委託となる。

2.考えたこと:法曹関係者としては廉価の報酬でありながら(時には無償で仕事を引き受けることもある)自らの仕事に誇りをもって取り組み、全国規模のネットワークを駆使しつつ、社会的弱者の立場から不正義、人権侵害に対応しようとする姿勢は、NGO活動の原点といえる。デリー事務所訪問時に垣間見た離婚係争中の妻からの依頼を受け、夫の海外逃避阻止のために、渡航先大使館や裁判所他を巻き込んだ彼らのトラブルシューティングの一幕。軽快なフットワークと熱意で事にあたるという一般的なNGOへの印象そのものであった。

他方組織運営面をみてみると若干不安が残る。インドでは経済発展に伴い中産階級が増えているといわれるが、彼らのNGOなどの市民団体への物心両面での支援は未だ限定的だと聞いた。SLICの理念、社会における活動の意義を理解し、支援することができるのはインド社会の中でも教養と社会性があり、かつ経済的余裕のでてきた中産階級以上と思われるが、SLIC側からもまだ十分アプローチしきれていない。長期的に彼らの活動が社会に根付くためには、中産階級を中心とした個々人への啓蒙活動と、民間企業系の財団などとのパイプ作りが今後一層必要になると考えた。同時に、人はどれだけ満ち足りたら自主的に富や知識を分配しようと考え始めるのかということが問いかけられているように思った。

II SOSVA (Society for Service to Voluntary Agencies, www.sosva.org)
1.団体概要:インド社会のボランタリーセクターが地域、特に恵まれない層に対し、より効果的に貢献できるよう各団体の組織・能力強化を支援するための団体。具体的な活動としては、主婦や学生など社会的関心と時間的余裕のある人々を地域ボランティアとして登録・派遣、医療施設への海外からの医療機器供与事業支援、NGOマネジメント研修、ボランタリー団体の透明性確保に向けた評価制度導入などがある。

2.考えたこと:今までみてきた元官僚が始めるNGO活動は設立者の現役時代の人脈と政治力を活用しつつ関連業務を請け負う、いわば行政の下請け的な活動であるケースが多く、SOSVAの活動についても当初はあまり関心がなかった。しかし、同団体の活動内容をよくみてみると、その創造的な活動に感心した。

団体代表はまずはNGOセクター内の課題を洗い出し、NGO自らができることと、官或いは民間の協力を得て対応できることを整理することから始めている。前者のNGO自らができる組織体制強化やスタッフの能力開発などについては、SOSVA独自で取り組み、さらに部門ごとで若手への権限委譲もすることで自らの組織ガバナンスの改善にも着手している。後者については、現状を踏まえた問題提起を官と民に対して行い、ボランタリーセクターに優しい新制度の導入がなされるように働きかけている。

活動の中でも、彼らが州政府に提案したBridge Loan Fund (BLF)は興味深い。ことの始まりは、公的機関のNGO支援事業承認後、実際に資金の支払いが行われるまでに時間を要した際に、自己資金が限られていて資金振込み時まで持ちこたえられない弱小NGOの資金ギャップの問題が深刻だったことによるとのこと。日本の民間助成金やODAのNGO関連事業は個々のプロジェクトへの支援のみを想定しており、管理費部分でさえもNGO側から再三要望が出されているが未だ大きな制度変更には至っていない。今後日本でNGOセクター全体の足腰を強くするようための方策が、NGOとドナーで検討されるような際にはこのやり方は参考になるのではないかとアイデアをもらった。

もうひとつ興味深かった点は、インド本国と海外のインド人コミュニティのつながりである。同代表は州政府の役人ながらも一時期世銀に勤めた経験をもち、その関係で米国のインド人コミュニティとつながりを持つ。その縁から米国で成功したインド人たちの母国支援の窓口(医療機器供与関連)になったり、彼らを通じて欧米のボランタリーセクターに関する考え方を吸収したりもしている。

バングラデシュでも同じように、一度は海外へ流出した頭脳や資金が、NGO活動という形で本国に還元されているケースに遭遇した。移住や出稼ぎなどの理由で先進国へ赴いた「南」の人々は、そこで成功し「北」の住民となっても、故郷の家族或いは社会とのつながりを切ることがない(或いは切れない)。世界各地で人のダイナミックな移動が日常茶飯事になっている。「A国からB国へ」という国単位の関係図に、国外の当該国のコミュニティ分布図も重ね合わせ、人と資金をつなぎあわせて開発に取り組むことが当たり前になりつつあるのではと、日本の協力のあり方について考えさせられた。

2004年6月13日 (日)

「地球に乾杯!NGO」を始めて2年になりました!(杉原 ひろみ)

2002年6月、世界に散らばる仲間に声をかけ、NGOをはじめ、文化や言語、地域固有の問題について、自らの体験や研究に基づくコラムを執筆し、ウェブサイトを通じて発信していくことを始めた。そして今週、満2年を迎えることができた。

これまでの執筆者数はのべ15人で、日本、アメリカ、カナダ、イギリス、マラウイ、東ティモール、ネパール、バングラデシュ、インドなどからコラムを送付してくれている。彼らの職種は、NGO職員、政府開発援助職員、国際機関職員、研究者、大学生、大学院生などバラエティに富む。その彼らが2年間で書いてくれたコラム数は合計185本である。また、ウェブサイトへの月間アクセス数は、多い月で7800アクセスにものぼる。その多くは、インターネット検索から訪問する読者である。

出張先で撮影した写真を提供してくれる民間コンサルタントの方もおり、トップページも賑やかになっている。今、話題になっているblogも始めたことで、以前より気軽にコラムに対するコメントが寄せられるようになった。一方、研究者、マスメディアの方から専門的な問い合わせを受けるようにもなってきた。これもインターネットの普及や、検索エンジンの進化によるところが大きい。多くの読者や仲間に支えられて2年を迎えることができたことに、この場で感謝の意を表したい。

執筆者間のネットワークを活用した動きも出てきた。現在、執筆者である鈴木恵子氏、粒良麻知子氏、畑島宏之氏、そして杉原の4名でMichael Edwards著の「Future Positive」の邦訳出版(今年11月に日本評論社より刊行予定)に向け、共同作業を行っている。また、その出版に向けてコーディネートしているのが、同じく執筆者の一人黒田かをり氏が運営するCSOネットワークである。皆で「協力」し合い、「連携」することで、個人ではなしえなかったことが、この秋に実現しようとしている。

今後も多様な経験を持つ執筆者を誘い込み、NGOにまつわる議論を越え、開発協力とは何かを問い直す、そんなコラムを発信できたらと思う。また、読者に必要な情報をよりわかりやすくお届けできるよう、インデックス整理にも取りかかりたい。

最後に、個人的には子供を産んで1年が過ぎ、毎日、仕事と育児に追われている。子供ができて以来、一日のうち開発問題に実際に関わる機会はめっきり減った。しかし、これからもコミュニティに根を下ろし、自分の目(時には娘の目を通して)で見て感じて考えたことを素直に発信していきたいと思う。

2004年6月 6日 (日)

REFLECT識字教育プログラム(岩岡いづみ)

 女性の識字教育に関する研究のため、ネパールに滞在したことは前回のコラムでお伝えした通りである。そこでケーススタディとして取り上げた識字教育プログラムの一つがイギリスに本部を置く国際NGO、アクションエイドのREFLECT識字プログラムである。 REFLECTとはブラジルの教育学者パウロ・フレイレの理論を元に組み立てられた識字の習得と同時にコミュニティー開発を狙った参加型識字プログラムだ。この枠組みの中でデザインされた識字教育とは単に読み書き計算能力の習得のみならず、識字の習得を通じて社会的弱者が不平等な力関係を少しでも平等な状態に持っていくことを狙っている。REFLECTの主な特徴を挙げてみると

1) 教科書を一切使わない
 教科書とはコミュニティーに住む住民自体の問題、コミュニティー自体の問題に精通していない部外者が作成したものであるから、教科書を使うことは学習者の創造力を養う機会と学習者自身やそのコミュニティーの問題について熟考する機会を妨げることになる。代わりに学習者はREFLECT教室でディスカッションを通して学んだ新しい単語をノートにとり、それが最終的に学習者の教科書となる。

2) ファシリテーターの役割は教えることではなく、問題提起を促すこと
 REFLECTの理念のひとつに「教育とは知識を持ったものから持たぬものへの詰め込み教育であってはならない。」というのがある。REFLECTにおいてファシリテーターは学習者との「対話」の一部でなければならない。ファシリテーターの役割とは対話を通して学習者に自身と自身を取り巻く状況について深く考える機会を提供することにある。 トップダウン式の教育はファシリテーターが権力の保持者に陥りやすいため、REFLECTでは参加型アプローチを重視する。このようにREFLECTではファシリテーターと学習者の力関係に極めて敏感である。

3) PRA
 REFLECTはPRA (参加型農村調査法)をベースにしている。季節カレンダー、ソーシャルマップなど参加型ツールを用いながら地域の問題、季節に応じた農業の問題、病気などについて話し合い、その中からファシリテーターが選んだキーワードについて話し合いを進めながら新しい単語の読み書きを習得する。同時に地域の問題についても話し合いを通じて問題解決に向けて動機づける。

 REFLECTほど住民主体を重視した識字プログラムもなかなかないかもしれない。しかし10ヶ月のプログラムが終了した時点で学習者の半数は自分の名前や簡単な単語以外に読み書きをすることは難しいと答えた。柔軟性に富んだファシリテーターによってプログラムが実施されていたら、もしくはプログラムの参加者の年齢層がもっと若ければ違った結果が出ていたのか、それともプログラムの目的自体が非識字者にとって無理があったのか、今後個人的に研究していきたいテーマである。

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