2015年10月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« グァテマラ二言語教育プロジェクトと企業との協力の実例(上岡直子) | トップページ | マラウイ徒然(9)食糧危機(1)(小林由季) »

2004年10月 3日 (日)

スコットランドNGOネットワーク、NIDOS訪問記(松尾沢子)

今年7,8月の2ヶ月間、グラスゴーにあるNIDOS(Network of International Development Organisations in Scotland www.nidos.org.uk)にお世話になった。インターンという形で、専従コーディネーターのFionaとスコットランド議会から出向できているポリシーオフィサーのDhanaの日常業務を補助しながら(NIDOS事務局は実質この2人のみ)、英国の地域ごとのNGOネットワーク組織の活動について理解を深めることが目的だった。あいにく夏休み時期と重なり、予定していた会員団体へのインタビューは40団体中18件と半数を割ったが、Oxfam ScotlandやSave the Children Scotlandといったロンドンに本部のある大手英国NGOのスコットランド支部ではなく、同地に本部を置く団体中心に話を聞けたので、「スコットランド」ブランドの意味を考えるよい機会となった。以下簡単に英国のなかでも、イングランドでもウェールズでもない同地のNGO事情をご紹介したい。

NIDOSの会員は現在40団体。スコットランド内の全てのNGOを網羅しているわけではないが、2001年の設立当時、現地のスコットランドのNPO/NGOへの助成金を行う金融機関の財団が、国際協力部門への応募条件にNIDOS会員資格を求めたことから、当時活動していた大半の団体が会員となり、以後着実に増加している。90年代はBONDしか選択肢がなかったが、今は身近に同一情報にアクセスできるという理由で、BONDからNIDOSへ移動してくる団体もいる。

JANICの国際協力NGOダイレクトリーのように業務形態別のデータを取っていないので、正確なことはいえないが、団体概要とインタビューから、40団体の大半はサービス供給(含むボランティア派遣)、開発教育、研修事業に従事しており、アドボカシーや調査研究も若干見られた。国内での大規模なサービス供給活動をもつ一部団体(赤十字など)を除いた会員の平均スタッフ数は5.19人。しかし70%近くは5人以下で活動している。全会員の半数強の22団体がスコットランドに本部を置くNGOとなる。会員区分でみると彼らの大半は中小規模で、やはり大規模会員はOxfamや赤十字などのロンドンに本部を置く全国規模の団体となる。

ネットワークとしての歴史はロンドンにあるBONDに比べまだ浅く、会長(現時点ではOxfam Scotlandの事務局長)を中心にその存在目的を見直している最中であった。スコットランドのNGOがロンドン中心の政策決定や資金源へより効果的にアクセスすることを確保するための活動(政策決定者との定期的コミュニケーション、審査に耐えうるプロポーザルを書く能力なりマネジメント能力を身に着けるための研修実施など)か、或いは、スコットランド社会での知名度向上や英国ODAなりEUの援助政策への影響力行使のためのアドボカシー活動をするべきか。目下会員の意見を聴取している最中で、向こう1年程度かけて総会や運営員会で議論される予定とのことである。

同時に来年スコットランドのGleneagleで開催されるG7/8サミットに向けたキャンペーンであるMobilisation 2005にスコットランドのNGOが参加しなくては!という意気込みが一部の会員に強く、全会員によるコンセンサスそっちのけで、NIDOS事務局が実務面で対応するという状況でもあった。この理由として、現会長はMobilisation 2005はスコットランドのNGOの知名度向上と政策提言での発言力強化の2点で意義のある活動だからこのような状況も致し方ないとの意見だった。私もこの点には同意するものの、インタビューした中小規模の会員の多くが、ロンドン主導の本キャンペーン及び大手団体の独裁的アプローチに懐疑的であることを考えると、逆にNIDOSのようなネットワークの求心力が落ちる可能性も否定できなかった。

最後にNIDOSでの2ヶ月間で印象に残った言葉を二つご紹介したい。ひとつはスコットランドに本部を置くある中規模NGO代表の言葉。“We are one of the few NIDOS members who can appeal to the Scottish society for doing “Scottish-owned” development project. People like that and we also like it as it also leave space for us to appeal as “British NGO” in elsewhere too”(我々は「スコットランド」自前の開発プロジェクトをしているとスコットランドで宣伝できる数少ないNIDOS会員だ。人々はこのことを評価している。また我々は「英国NGO」という肩書きでも、ドナー(例えばEU、国連機関など)にアピールできるので二重に好都合である)

つぎは途上国出身のスコットランド人(例えばインド系、アフリカ系の人々)が主体的に行う開発教育プロジェクト案がある団体代表の言葉。”I think some people still think that development education is the privilege of white-British and there is no space for black and ethnic minority group to participate who is also part of Scottish society.”(一部開発教育関係者は、開発教育はいまだ白人英国人の専売特許だと考えている節がある。そこにスコットランド社会の一員であるアフリカ、アジア系などの非白人英国人の参加の余地はない。)

前者は二つのアイデンティティをもちうるスコットランドNGOの強み、後者はスコットランドの中の多人種・異文化共生の課題を考えさせられる言葉だった。

« グァテマラ二言語教育プロジェクトと企業との協力の実例(上岡直子) | トップページ | マラウイ徒然(9)食糧危機(1)(小林由季) »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/22191/62463901

この記事へのトラックバック一覧です: スコットランドNGOネットワーク、NIDOS訪問記(松尾沢子):

« グァテマラ二言語教育プロジェクトと企業との協力の実例(上岡直子) | トップページ | マラウイ徒然(9)食糧危機(1)(小林由季) »