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2004年11月 8日 (月)

国際協力でのキャリア・ビルディング(1)『国際協力を仕事として』から(杉原ひろみ)

「地球に乾杯!NGO」をご覧になった読者の方々が用いた検索エンジンでのキーワードを元に、以前掲載したコラムを厳選してお送りいたします。
第7回:キーワード=「国際協力の仕事

 プロフェッショナル・キャリアをどう築いていくか?私はその時々に考え、最終的には自身の嗅覚を信じ、信念を貫いて今日までやってきた。しかし人生の岐路に立たされる時、いつも読み返す本が『国際協力を仕事として』(西崎真理子他著、彌生書房)である。

 96年春の留学時、日本人の留学仲間が貸してくれたのがこの本だった。国際協力の第一線で活躍する30代女性12人の援助活動体験記である。開発援助や人道援助の仕事に携わり、その後の人生をどう歩んでいるか?国際協力の最前線で働き続ける女性、結婚して転職した女性、夫の赴任地(途上国)に同伴し、そこで活躍する場を切り開いた女性など。当時の私は、いろいろな生き方があることに新鮮な驚きと希望を感じた。また、仕事と家庭生活との両立をいかにするかといった人間臭い視点が含まれ、どことなく親しみを感じた。

 この本が出版されて7年。その間、曲りなりに私も途上国で国際協力の仕事に携わる機会に恵まれた。結婚して家庭も持った。そしていつの間にか当時の彼女らと同じ年代に入っている。それでも私にとって彼女らは遠い憧れの存在だった。しかし、ワシントンDCに暮らすようになり、偶然、著者の一人にお世話になった。本を読んで想像した彼女は、もっと大きく強く、風を切るように颯爽と歩く女性だった。しかし等身大の著者はごく普通の気さくな日本人女性で、しなやかに生き、余裕が感じられ、ほっとするような人だった。

 いつまでも本を傍観するのではなく、自分のものとして引きつけ考える必要があるのではないか?先日、改めて読み返してみて、生意気にも思うようになった。

 私がこの本を高く評価する理由は2つある。一つは、キャリアを目指した動機、それを実現させるための準備、実現してみて思ったこと、挫折など、12人の著者全員が誠意を持って語っている点である。十人十色な生き方を提示してくれることで、読者は部分部分を抽出し、自分が抱えている問題と照らし合わせて考えることが出来る。国際協力の仕事に就くこと自体をゴールとした本や体験記が多く、うんざりするだけに、この本は7年経っても色あせることがない。

 少し話がそれるが、この事例を挙げるという方法がいかに有効かは、途上国の現場でプロジェクトを多数抱えていたとき感じた。政策形成者はとかくプロジェクト運営の「マニュアル化」にこだわる。しかし実際には、内部・外部要因、環境、その時の偶然性などが左右し、マニュアルを作成してもその通りに行かない場合がほとんどだ。むしろ役立つのは、マニュアルより具体的な成功・失敗事例を示されることである。

 プロフェッショナル・キャリアをどう築いていくか?という問いに対して、この本は十二分すぎるほどの答えを示し、同時に「How To本」など小手先の情報は役立たないことを示唆してくれる貴重な本であると思う。

 次回は、私がこの本を高く評価する理由その2「女性のキャリア・ビルディング」について触れることにする。

(本コラムは2002年11月25日に掲載しました。続きはバックナンバーでご覧ください。)

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