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2005年2月

2005年2月21日 (月)

プロジェクトの持続性とは…(1)-グアテマラの二言語教育プロジェクトの終了を控えて-(上岡直子)

1月の後半に、グアテマラを訪ねた。World LearningがUSAIDの資金で5年半程実施していた、マヤの先住民向けの二言語教育が今年三月に終了するため、そのプロジェクト終了のイベントに参加するのが、主な目的だった。

このイベントはグアテマラの首都で開催された。プロジェクト・チームが、プロジェクト実施地であるキチェ県農村部の学校における活動内容を、参加者に多少でも見てもらいたいと、プロジェクトが関わってきた学校のひとつから先生と子供たちにも来てもらった。イベント会場の一部に小さなテントが張られ、クラスルームが再現される。先生がプロジェクトによる教員養成訓練を通じて習い、自分自身でも工夫をこらした二言語教育法を駆使し、授業をデモンストレーション。グアテマラでは、一般的には、教師がマヤの言語や文化を教えることが今まで殆どなく、その教授法や教材に乏しい。プロジェクトは、貧しい農村部でも、身の回りにある資源やリサイクルの物を利用し、マヤの言語や文化を教える様々な方法を紹介してきた。このモデル授業においては、先生が乾燥させたとうもろこしの芯に針金を通して作った教材で、自由自在にアルファベットの字を作り、小学校一年の子供たちにアルファベットの書き方と発音を教えていた。また、図工のクラスでは、子供たちは様々な草花を直に紙に擦り付け、色とりどりな絵を仕上げた。

会場は、プロジェクトが過去5年間関わってきた様々な組織の人々であふれていた。ドナーのUSAID、GTZやJICAを初めとする他の政府機関、教育省の人々、先住民や教育関係のNGOや教育専門家、教員養成所の教師と生徒など。そのうちに、グアテマラの副大統領のEduardo Stein、二言語教育担当の教育次官のCelso Chaclánも会場に現れ、モデルクラスを見て先生や子供たちに質問したり、展示された教材を見て回ったりした。副大統領の登場とともに、イベントの取材で会場に来ていた様々なテレビや新聞の報道陣も一挙に副大統領にまとわりつき、副大統領をフラッシュとインタビュー攻めにする。

そして昼前に、正式なプロジェクト終了式の始まり。まず、プロジェクトの先住民のコーディネーターの一人(彼はマヤの祭司でもある)が、伝統的なマヤの儀式にのっとり、お香を焚いて祈りを捧げて、式は幕を開けた。それから、プロジェクトの活動内容と成果の概要が説明され、グアテマラのUSAIDのトップ、教育次官、副大統領のスピーチと続く。副大統領のSteinは、自身がグアテマラの学校で受けた英語、ラテン、ギリシャ語の教育、また後米国で博士課程に在学中した際の経験を交えて、語学教育の意味を述べ、先住民にとってマヤの言語と文化を重視した教育の大切さを強調した。去年よりは、マヤ語を習っているという発言に、皆の拍手喝采が起きた。(教育省のウェブに、当イベントが報道されている。http://www.mineduc.gob.gt/articulos_2005/enero/6/noticia6.htm)

このように、プロジェクト終了式は、華々しく終わった。翌日の新聞は、Prensa Libreを初めとする主な全国紙が、こぞってイベントを報道し、先住民向けの二言語教育を焦点とする記事を載せた。しかし現在、プロジェクトの終了報告書を用意しながら、当プロジェクトが終了した後、果たして持続性はあるのか、考えさせられてしまう。コミュニティ・レベルでの持続性に関しては、まだ良い。プロジェクトは、すでに数ヶ月前に学校やコミュニティ向けの活動を終了したいたが、今回の一月に私が活動地の学校を訪れた際は、教師はいまだにプロジェクトから教わった教授法や教材を活用し、二言語での教育を行なっていた。父母たちも相変わらず定期的に集会を開き、教師とともに子供たちの教育をさらによくしていくためのプランを話し合っていた。教師も父母も口を揃え、二言語教育と、生徒や親の参加をはかる教育の恩典を理解した今、自分達はこれからもそれを実施続けるつもりだと述べていたのが、印象的だった。

しかし、懸念なのは、コミュニティ・レベルを超えた持続性である。実際にプロジェクトは、プロジェクト終了後、教育省が当プロジェクトの活動を公的に引き継ぐのを期待しながら、活動開始当初より中央と地方の教育省との協力関係を築く努力をし、様々な連携を図った。それは、中央教育省との会合、会議やセミナーから、地方レベルでの教育担当官との共同活動実施まで、多数にわたる。その成果もあって、今年に入ってから、教育省の依頼で、先住民の割合の多い一三県向けに、プロジェクトが開発した二言語教授法に関するトレーニングを行なった。でも、政府側は、二言語教育に関して、真のコミットメントをもち、プロジェクトの開発した方法なり経験を、実際に応用して行くのであろうか。政府高官が出席したプロジェクト終了式に参加して、政府の公約が形式だけに終わないことを祈らずにはいられなかった。

次回のコラムでは、同グアテマラのプロジェクトを基に、プロジェクトの持続性に関しさらに検討したいと思う。

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