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2005年5月 2日 (月)

ニーズ調査の先走り(位田和美)

 百聞は一見に如かず。配属先(地方行政組織)とのPLAに対する見解の相違が判明した後、「基本は村の現実」とのスタンスから村へ足を運び、村人の生活をこれまで以上に観察しようと努めた。さらに、私自身が目星をつけている村へ行く傍ら、他の援助団体の活動も勉強させてもらおうと、セネガル政府が実施している社会開発プロジェクトの評価ワークショップにも同行させてもらった。しかし、このような政府プロジェクトが開く集会でさえも参加者はまばら。参加している村人も疲れ切っていて、発言者も少ない。やはり農繁期。村人の優先事項は当然のことながら畑仕事である。無理もない。

 他方、配属先の上司も地方巡回や会議で忙しいらしく、事務所へ行っても不在であることが多い。これでは、PLAを実施しようにも、村人・配属先双方の日程が合致することはなく、話にならない。そして、私自身は細々と時間が空いていそうな人を見つけてはニーズ調査を始め、情報収集をしてはみたが、どうも村人側に積極的な姿勢が見られず、私自身の自己満足に陥っている気がしてならない。やはり時期が悪いのか、はたまたやり方が悪いのか。

 そこで、思い切って活動対象とやり方を変えてみた。ときに時期は10月始め。まもなくラマダン(断食月)に入るものの、学校のバカンスも終わり、新学期が始まる頃。活動対象は農作業で忙しい村人ではなく、小さいけれども都市に住む学校関係者に、「○○のような活動をしてみませんか」という提案型で進めていった。
具体的には、任地全体で“トレンド”のようになっているエイズ対策を、地域の最高教育機関である中学校を舞台に展開しようと試みた。計画としては、12月1日の「世界エイズデー」を目標に、中学生によるエイズ紙芝居の上映と、紙芝居にまつわるエイズ講座を開催しようとした。そこで校長先生から中学校教諭に話をしてもらい、生徒から参加希望者を募ってもらった。

 私の任地はセネガルの首都ダカールとマリの首都バマコを結ぶ大きな国道沿いであり、性感染症の患者も多い。自然、数年前からエイズ予防への関心が高まっており、何かの折につけてはエイズ予防の啓発活動が行われている。しかしながら、それでいて一過性のイベント的活動から脱しきれず、人々の間でのエイズに関する知識が充分備わっているとは言えない。このような状況下において、中学校でもエイズ予防活動に関心のある生徒は予想以上に多かった。企画内容としては成功である。問題は時期と進め方。

 私が企画したエイズ紙芝居とは、日本のNGOジョイセフから寄贈していただいたものであり、脚本は英語で書かれている。上映にあたっては、少なくともセネガルの公用語であるフランス語翻訳作業が必要になってくる。だからこそ私は地域の最高教育機関である中学校に目をつけ、中学校の英語教諭の協力を仰ぎながら、中学生を中心に進めていこうとした。しかし、後になってわかったのであるが、この翻訳作業は中学生にとってあまりに背伸びしすぎたものであった。さらには、企画段階では賛成し、協力すると言ってくれていた中学校教諭も、実践段階になると勤務時間外での活動に不満を持ち始め、ついにはラマダンに突入し、来なくなってしまった。こうして中学校教諭の協力がまったく得られないまま、自分の能力以上の作業を抱えてしまった中学生は路頭に迷い、次々とギブアップしていった。そして、12月1日を待たずして、ついに計画は頓挫してしまった。

 今思うと、エイズ予防に関心のある生徒自体は多かったのであるから、紙芝居上映を前提にするのではなく、「エイズ予防活動として」生徒自身に何かしたいのかを問いかけるべきであった。また、中学校教諭とのコミュニケーションも充分であったとは言えず、日程・進め方・内容等もっと一緒に検討すべきであった。

 つまり、今回は「私のやりたいこと」を前面に押し出してしまい、生徒や中学校教諭からのニーズに耳を傾ける努力が欠けていた。ニーズの把握・仮説検証までは良かったのだが、その後企画に対象者がついて来ているか、それを知るためのコミュニケーションが図れなかったために、「ニーズ調査の先走り」となってしまったのである。

 こうして私の模索はとどまることを知らず、その後の活動への試行錯誤は続くのである。

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コメント

KETTYさん、munanさん、コメントありがとうございます。

アフリカ/セネガルの地方に暮らし、村落開発普及員として試行錯誤を続けてきています。ちょうど今、折り返し時点に立ち、自身の活動の見直しと今後の展開について考えているところです。

業務範囲が広い村落開発普及員の例に漏れず、活動当初は本当に試行錯誤・自己反省の毎日でした。2年間という期限付きでやってきた外部者である限り、なかなか頭で考える程村人の生活を理解したり、活動したりできないものですが、それでも理解したい、何かしたい、という想いでやってきました。
本コラムも、皆様とセネガルでの経験を共有するとともに、その試行錯誤の自己記録として位置づけてもいました。ですので、コメントをいただけ、本当に嬉しく思います。

本コラムに記したエイズ予防活動に関して、少しずつ進歩が見え始めています。また追ってコラムとしてアップしたいと思います。今後ともよろしくお願いします。

はじめまして。中国で日本語教師をしています、munanといいます。青年海外協力隊員です。あと数ヶ月で任期満了なんですが、国際協力についてネットで検索していて、このページにきました。
実は、大学では位田さんのサークルの後輩でした。(といっても、重なった時期がとても短かったので、位田さんはおぼえていらっしゃるかどうか・・・?ですが)とても懐かしく思い、思わずコメントを書いてしまいました。教壇経験も社会経験も無いまま新卒で協力隊に参加し、活動は試行錯誤の繰り返しでしたし、今でも自分の至らなさを実感させられることが数多くあります。
最近、PLAの手法に関する本を読んだりして、とても興味を持っています。日々の授業や教師研修会(で講師を務めるとき)などにも、とても役立つ考え方やアイディアがあるように思いました。これから、もっと勉強して、少しずつ実践もしていきたいと思います。
このページ、これからも読みたいです。よろしくお願いします。
位田さん、これからも元気でご活躍ください!応援しています!

初めまして。愛知万博・地球市民村のライターをしているKETTYと申します。ジョイセフについて検索したところ、こちらに参りました。
ジョイセフのパビリオン・スタッフについて記事を書いています。Tbさせていただきました。よろしければご覧ください。
私自身、ジェンダーについての学習から、子育て支援の分野に5年おりました。3月で行政の非常勤を退職、現在はネットでライターをしています。とても興味深い内容のblogですので今後とも読ませていただきたく思います。
よろしくお願いします。

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