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2005年6月 6日 (月)

女子教育を阻むもの(2):女子誘拐への対策(利根川佳子)

(前回のコラム「女子教育を阻むもの(1):早婚、女子誘拐」)

女子誘拐がなぜ行われているかについては、前回のコラムで書いた。今回は、女子誘拐と教育について更に言及したい。

女子誘拐は、エチオピアの多くの女性の仕事である水汲みの行き帰りに行われることが多い。長いと6時間かけて水汲みに行く地域もあるという。同様に、エチオピアの多くの学校は、家から離れているため、毎日数時間かけて学校へいくことも珍しくない。学校の行き帰りの間で、誘拐されることが良くあるのだ。また、学校で男女が一緒に勉強することにより、男女の交流が増えるのも、男子が女子に目をつけやすくなるため女子誘拐の原因と言われる場合もある。そのため、親は女の子を学校に行かせるのを嫌がる。それも、女子教育を阻んでいる。

その一方で、学校で男女が交流することで、女の子も合意の下、女子の親に対して結婚を納得させるための「合意女子誘拐」もおこっているらしい。この「誘拐」は恋愛に基づくので健全だというエチオピア人の意見も聞いたが、もし女の子が若く、教育の機会を失っているとしたら、良い方向だとは思えない。どちらにしても、この「合意女子誘拐」は、Dowryの金額が減ってしまうという点や自分の知らないところで娘が結婚相手を決めるという点から、親が娘を学校に行かせるのを拒む原因になるだろう。

女子教育を阻む女子誘拐に対する学校の対策を紹介する。アワサ(Awasa)郡にあるこの学校は、女子教育に比較的成功しており、ユニセフのターゲット校ではない。この学校は珍しく校長先生が女性で、個人的にも彼女が女子教育を強く推進している。その校長先生が女子誘拐に対してとった行動は、その地域のリーダーとその地域の宗教リーダーに対して、女子誘拐がもたらす影響について語り、働きかけ、コミュニティを巻き込んで、女子誘拐を止める努力をしている。伝統的に女子誘拐は周知の事実として行われており、コミュニティ全体がそれをよしとしていた。コミュニティリーダーを中心にその地域全体で考え方が変われば、女子誘拐もなくなるかもしれない。実際にその学校ではコミュニティリーダーを巻き込んで、誘拐した男性側の家に交渉に行き、誘拐された女の子を取り戻している。その後、誘拐から救われた女の子が高校にまで行ったと校長先生は誇らしく私に語ってくれた。また、その校長先生は、学校の生徒、コミュニティの前で誘拐から救われた女子に誘拐の経験談を話させることで、女子誘拐に対する認識を変えていったのである。「去年は誘拐された生徒はゼロだったけど、今年は1人誘拐されたのよ」と厳しい現実と戦う女校長先生の姿には圧倒された。確実に変化は起こっている。

この学校が地方都市に近く、コミュニティのマインドも比較的柔軟であることも成功の要因かもしれない。だが、コミュニティによる理解は大変重要だ。この学校が成功しているのは、コミュニティの理解を求めるに当たり、外部の人間ではなく、校長先生を中心にそのコミュニティに深く関わる人が行動を起こしたからだろう。

また、このような校長先生こそ、勉強する女子にとってのモデルとなることだろう。
エチオピア全体の小学校の先生の内、31%が女性である。私が訪問した村では、多くの学校で女性の教師は1人であった。女性の先生が増えることも、女子教育促進の大きな要因であろう。

女の子への教育の阻害要因は、経済的な点もあるが、それよりも社会文化的な点が大きく影響している。つまり、人々の前提となる考え方の問題となるので、道のりは長いが啓蒙活動を通じて、自分たちの前提となる考え方に疑問をもってもらうことからはじめることが、結果的には一番重要なものとなるのだと思った。

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