2015年10月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最近のトラックバック

無料ブログはココログ

« 国際機関が人員削減をしたとき(2)特殊な国際機関、アフリカ開発銀行(畑島宏之) | トップページ | 子育てと開発援助の接点(杉原ひろみ) »

2006年2月20日 (月)

続・マラウイ徒然3  食糧危機の中、メイズの販売禁止令が出された(小林由季)

(前回のコラム「続・マラウイ徒然2  食糧危機ふたたび+洪水」)

前回書いたように、マラウイは食糧危機の真っ只中にある。そして、本当に必要としている人の手にメイズ(トウモロコシ)が行き渡るよう、いろいろな策が講じられている。

そんな中、1月4日付でマラウイ北部の主要都市であるムズズ市でメイズの販売禁止、という新聞記事が掲載された。ムズズ市議会は、同市内でのメイズ販売をADMARC(The Agricultural Development and Marketing Corporation:全国に拠点を持つ農協のような公社)だけに限定し、それ以外の民間業者のメイズ販売を一切禁止するというのである。第一報の記事では「メイズを高値で売る不届きな民間業者のメイズ売買を止めさせる」ことが目的と書かれている。

マラウイでは農産品販売が自由化されているが、政府はADMARCを通して、市場価格(房つきキロ40クワチャ前後)ではメイズを買えない人たちのために、補助金で低価格(房つきキロ17マラウイ・クワチャ)に抑えたメイズを販売している。

食糧不足の現在、メイズは一人当たり一度に25キロまで購入可能、と割当が決まっているが、入荷量に対して購入希望者が多すぎるため、入荷があった時に並んでいる人の数を見ながら、割当てを5キロ~15キロに減らし、なるべく多くの人に低価格の補助金メイズが行き渡るようにしている。それでもすぐに在庫が底をつき、何日も次の入荷がないことがある。

このメイズ販売禁止令について、以下、関連新聞記事から抜粋してみた。

ムズズ市議会の行政の長Chief Executiveによれば、
「市内のメイズ不足について、ステークホルダーと話し合った結果」
「民間のメイズ取引業者は、低価格の補助金メイズをADMARCから不当な手段で大量に購入し、それを(市場価格の高値で)転売したり、中部や南部に輸送して販売しているという告発があったため」
「一部の個人の利益ではなく、すべてのムズズ市民の利益のために」
今回の決定が下されたとのこと。

本件についてADMARC北部マネジャーは次のようにコメントして、今回の決定を歓迎するとしている。
「クリスマス直前の一週間で、ムズズ市内のADMARC販売所全体で500トン以上のメイズを売り切ってしまった。我々はまるでメイズを(底なしの)穴に注ぎ込んでいるようだ。」
「ムズズ市内のADMARCでは通常は一週間に100~150トンしか販売しない。誰かがADMARCからメイズを大量に買っているというコミュニティからの申し立てもあって、(民間取引業者が)転売しているという疑惑につながった。」

それに対して、民間のメイズ業者は次のように反発し、商売を続けるとしている。
ムズズ・マーケットでメイズを販売している露天商:
「俺たち全員がADMARCからメイズを仕入れているという証拠でもあるのか。疑いだけで全員の商売を禁じるなんて。」
「ADMARCから買っている人間だけを捕まえればすむことじゃないか。」
「我々はタンザニアやChitipa県からメイズを買いつけてるんだ。」
「私たちはメイズで生計を立てている貧しい人間なんだ。」
「市や政府はこの商売を止めろというけど、夫に先立たれて5人の子どもの面倒を見なきゃいけない私はどうすればいいの。」
北部露天商協会会長:
「メイズ販売禁止の決定が下された話し合いに自分たちの代表はよばれていない。一方的に下された決定に従うことはできない。」
「マイクロファイナンス機関のFincaやPrideから金を借りてこの商売をしている人間もいるんだ。ある日突然商売をやめろというのはフェアじゃない。」
「我々は全員逮捕されてもいいと思っている。」

話し合いに参加した「ステークホルダー」は、Traditional Authorities (伝統的権威・リーダー)、政治家、ムズズ市議会当局、中央政府のスタッフで、確かにメイズ販売業者がいない場での決定だったらしい。

農業・食糧安全保障省の大臣はこのメイズ販売禁止令に反対として、
「本件について省は相談consultationを受けていない。」
「この食糧の足りない時に、ADMARCだけで市全体のメイズを供給するのは無理がある。民間業者がメイズを市場に供給する機会を与えるべきだ。」
とコメントしている。

マラウイ消費者協会(Consumers Association of Malawi: CAMA)のディレクター代理も、本件はメイズの販売を統制し、需要を抑制することが目的なのだろうとしながらも、これは経済の自由化に逆行するもので、消費者がメイズにアクセスするのを妨げる側面があると強調している。

また、マラウイ商工会議所(Malawi Cofederation of Chambers of Commerce and Industry:MCCCI)の会頭は、本件についての声明の中で次のように述べている。
「現在のシナリオは、メイズを輸入したり、自ら生産している民間業者が、市場価格が上昇したのを見て、貯蔵していたメイズを放出しても十分な利益があがると判断したということだろう。」
「(それなのに)ADMARC以外でのメイズ販売を禁止するのは、短期的に見てもなんの解決にもならない。(このような禁止令は)メイズ生産を続けようという民間セクターの企業家精神をそぐことになる。」

1月7日以降、これを書いている1月21日まで、本件についての続報を目にしていない。次回はこのメイズ販売禁止令と、経済自由化、地方分権化の関連について考えてみたい。

関連新聞記事
The Nation紙
1月4日付Mzuzu City bans sale of maize, http://www.nationmalawi.com/articles.asp?articleID=14453
The Daily Times紙
1月4日付Mzuzu residents ban maize traders, maize traders banned in Mzuzu, websiteなし
1月6日付 Vendors defy maize ban, websiteなし
The Weekend Nation紙
1月7-8日付 Mussa against maize sale ban, websiteなし

« 国際機関が人員削減をしたとき(2)特殊な国際機関、アフリカ開発銀行(畑島宏之) | トップページ | 子育てと開発援助の接点(杉原ひろみ) »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/22191/62463953

この記事へのトラックバック一覧です: 続・マラウイ徒然3  食糧危機の中、メイズの販売禁止令が出された(小林由季):

« 国際機関が人員削減をしたとき(2)特殊な国際機関、アフリカ開発銀行(畑島宏之) | トップページ | 子育てと開発援助の接点(杉原ひろみ) »