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2006年9月25日 (月)

千羽鶴と日本文化(杉原ひろみ)

(前回のコラム「「フューチャー・ポジティブ」を翻訳して(1)」)

「Bさんが発作を起こして倒れ、今、病院のICUにいる!」

運営委員の一人として所属する国際女性グループの幹事メーリングリストで一報が流れたのは、つい一ヶ月前の事である。このグループは、主に外国人(出身国は40カ国に近い)としてアメリカに暮らし、小さな子供の育児に奮闘している女性、約100名からなる。Bさんはそのグループの代表だ。ビジネスとボランティア双方のマインドをバランスよく持ち、緩やかなリーダーシップを発揮する彼女に私は一目置いていた。出身国はトルコだが、年齢も同じで、初めての外国生活を留学生としてイギリスでスタートさせたのも一緒、そして何より同じ月齢の子供を持つ同士として親近感を抱いていた。しかし、普段はお互いに忙しく、なかなかゆっくり話をする時間がなかった。9月に入り、お互いの子供が幼稚園に通うようになったら、彼女を我が家に呼んで、お茶でも飲みながら、自分自身の人生を語り合いたいと思っていたその矢先、Bさんが突然、倒れてしまった。

「この私に一体、何ができるだろう?」

彼女の病状を伝える情報が運営委員内に流れるや、病状の補足説明、今後のリハビリ、米国民間医療保険制度、米国の公的社会福祉や生活保護の盲点など、溢れんばかりの情報がメール上で飛び交った。もうすぐアメリカに来て6年が過ぎるのに、自分がいかに外国人としてお客様気分でのうのうと暮らしていたか反省した。同時に、開発援助分野に詳しくとも、人生を生き抜くのに全く役に立たない自分の無力さを思い知り、落胆した。自分に出来ることがあまりにない。

日本を離れて12年。イギリス、ジンバブエ、アメリカと移り住んできた。どの国に暮らしていても、口ばかり達者で理論的でも、実際に行動に移し、最後まで責任を持ってきちんとやり遂げる人が少ないことに、苛立ちとストレスを感じることが多かった。日本人として生まれ育つ中で培ってきた日本人気質と相手を思いやる心を、何とか彼女に伝えたい、彼女なら私の思いが通じるはずだ。気付けば、娘のお道具箱から折り紙をかき集め、千羽鶴を作るための鶴を折り始めていた。

その後、9人の日本人会員から賛同を得て、みんなと一緒に千羽鶴を黙々と折り続け、最終的には2週間という短期間に千羽鶴を作り上げることに成功した。千羽鶴の大きさは140センチ、重さは1.3キロにもなった。

実は私は、千羽鶴は折ったことがなかった。しかし、今回、友人の快復を祈願して千羽鶴を折ってみて、日本文化を再発見できた。言葉による励ましではなく、日本、そして東アジアの伝統に根付いたものをアートにして祈りにつなげる文化、1000羽という鶴を折る間に相手のことを考え、思いやる心、それを形に示す文化など。

外国で日本人として暮らしていると「イエス、ノーがはっきりしない!」「結論は何なの?もっと論理的に話してよ。」「あなたは何をしたいの?」「日本人はリーダーシップが発揮できない。」「日本人は存在感がない。」「日本人はボランティアをしない。」など言われる。そのせいか日本人である私は、常に萎縮していた。

でもそれは違う。日本文化は欧米の発想とは全く異なるから、彼らにはわかりづらいだけなのだ。欧米で美徳とすることが日本ではよくないこととみなされることもある。またその反対もある。どうやって欧米人の思考回路に合わせて日本文化を説明していくか。そして彼らの心にじわじわと響かせるか。そのためには、日本の文化伝統を学び直し、自分の頭で考え、言葉や形にして表現する訓練が必要である。

Bさんの一日も早い快復を祈りながら、日本文化について考えさせられた。

(バックナンバー)

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コメント

千羽鶴、私は折ったことがありませんが、
9人の日本人と一緒に、
二週間のビッグプロジェクトをやり遂げて
多くのことを感じられたことと思います。
ご友人のご快復をお祈りします!

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